8.働きがいも経済成長も
担当:山下 愛里彩
経済活動は就業する一人一人の働きにより成り 立っています。長期的に経済成長を続けるために は、産業の多様化やより生産性の高い産業の拡大 を図っていく必要がありますがその一方で、そ れらを担う人々が獲得する収入や健康、教育、就 業機会などの面におて、著しく不利な立場に置 かれる人たちをなくし、皆が適切な生活を持続的 に営んでいけることが重要です。言い換えれば、 収入やその他の面における不平等は長期的な経済 成長を阻害します。したがって、目標 8 では、持 続可能な経済成長の達成とともに、そのために不可欠な要件である包摂的かつ持続可能な雇用の拡 大を目指しています。
「働きがいも経済成長も」とは?.....包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての 人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある 人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
問題・課題・原因
現状・課題
-
働きがいが軽視されている国 → その国の経済成長も阻害される
-
原因
-
収入、健康、教育、就業機会において不利な立場にある人が大勢いる
-
-
-
就職する人々の労働環境の改善
-
ターゲット
-
移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
-
-
ディーセント・ワークとは
-
公正な所得
-
権利
-
社会保障
-
社会対話
-
自由と平等
-
以上を提供できる生産的な雇用を誰もが得られる機会を指す。
-
日本での外国人労働者の受け入れを促進
-
日本の外国人労働者の人口はおよそ100万人以上
-
メリット
-
その国特有の知識や技術などを取り入れることができ、技術や企業文化が発展する可能性
-
人材不足問題の解消
-
-
デメリット
-
就労ビザの取得費用や渡航費用などは企業が負担
-
日本人を雇用するよりコストUPの可能性
-
-
-
-
-
日本の労働環境の課題
-
現代の日本でも「ブラック企業」は多数存在する
-
国連に指摘されているほど長時間労働が問題視されている
-
世界的に見ても過労死の件数が多い
-
有給を取りづらい
-
-
労働時間法制の見直しを含む働き方改革による改善に期待
-
-
労働条件とは
-
労働時間
-
賃金
-
休暇日数
-
勤務内容など
-
が人間としての尊厳と健康を損なうものではなく、人間らしい生活を継続的、持続的に営むことが求められている。
-
1人1人が無駄な会議や仕事を減らすなどワークライフバランスを考えて上手に働く事で改善する可能性がある
↓以下が男性一日あたりの平均労働時間のデータ(SDGs One by One)
2.失業者の増加を止める
-
失業者が急増するタイミング
-
バブル崩壊
-
リーマンショック
-
コロナなど
-
不況の影響で失業者が多数出て来てしまい、世界的な課題である。
-
特にコロナの影響で失業してしまった方が多く、問題視されている。
-
-
右の図が日本の過去5年間の失業者数
のデータ(総務省労働力調査)
アメリカの過去50年間の失業者数のデータ
-
コロナ、リーマンショックの影響で失業率上がる
-
よって、正当な収入が得られない、正規雇用をしてもらえないなどの問題が浮上
-
政府の雇用調整助成金制度があったおかげで失業率が上がらず、休業状態にとどまっているのが実態
-
-
助成金、給付金などを充実させ、より多くの人々が経済的に支援されるチャンスを作る必要がある。
3. 労働市場におけるジェンダー格差の改善
-
ターゲット
-
「2020年までに、就労、就学、職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。」
-
-
世界の労働参加率で見れば、2017年の段階で男性は76%に対し、女性は49%と大きな格差が見られる。
-
原因
-
「女の子は教育を受ける必要はない」という思考
-
配偶者・パートナーが女性の労働を望まない
-
家庭や社会、宗教的な差別的規範
-
育児や介護サービスの不足など
-
-
-
失業率も女性の方がやや多いのが現状。
-
非正規雇用の女性が多くいる・指導的地位や特定の職業に占める女性の割合が低い
-
原因
-
出産や育児など家事関連時間の長さによる労働において不利な環境のため
-
よって、ひとり親家庭においては貧困状態に
-
-
-
4. 正規雇用を増やす
↓以下の画像は沖縄県の調査データ
-
正規雇用を増やし、1人1人の平均時給を増やしていく事が課題。
-
インフォーマルセクター(非公式な部門)で働いている人が多い。
-
例えば
-
臨時労働・パートタイム労働
-
無償の家族労働者・家業手伝い
-
靴磨き・行商
-
-
などの職が当てはまる
-
-
全世界の労働者の61%がこの雇用に当てはまるといわれている。(国際開発センター)
-
5. 強制労働や児童労働の廃止
-
ターゲット
-
「強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終わらせるための迅速で効果的措置の実施、最も劣悪な形態の児童就労の禁止・撲滅を保障する。2025年までに少年兵の徴募や利用を含むあらゆる形態の児童就労を撲滅する。」(Japan SDGs Action Platform)
-
-
現状として多くの方々が「ワーキングプア」に当てはまる。
-
世界では、現代でも2,490万人(1000人に4~5人)の強制労働者がいる
-
「現代奴隷」の現状
-
自らの意志に反して拘束され、奴隷状態にある人々
-
世界で約4030万人
-
そのうち2490万が強制労働者、1540万人が強制結婚させられている。
-
-
-
現代奴隷制度の被害者のうち、71%が女性と子供
-
児童労働の現状
-
世界には約1億5200万人(2017年)もの子供たちが労働を余儀なくされている
-
世界の5~17歳の子供の10人に1人の割合に相当
-
原因
-
「学校へ行っても意味がない」「女の子は教育を受けなくてもよい」「わたしたちには関係がない」といった意識や考え方が「児童労働(=危険で有害な労働)」を生み出している一因
-
-
私たちも間接的に関わっている現状(以下の図を参照)
-
-
6.インフラの整備、より多くの資源を利用・産業の多様化&生産性の高い産業の拡大
-
より多くの方により質の良い職場に就ける環境を整備する
-
ターゲット
-
「2030 年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する 10 年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。」
-
「2030 年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
-
「高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上およびイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。」(Japan SDGs Action Platform)
-
-
途上国が発展するためには、まずインフラ整備が必要不可欠
-
インフラ整備には莫大なコストがかかる
-
しかし将来的にはインフラ整備が経済発展の礎となる
-
-
エネルギー生成の過程で排出される二酸化炭素(CO2)を減らす必要がある
-
低炭素化に向けた取り組みが世界各国で行わている
-
日本:持続可能な再生エネルギーの発展、省エネ対策などが積極的に推し進められている状況
-
解決策:「 二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism、JCM)」で対策している
-
優れた技術、製品、システムを途上国に提供する
-
先進国からの技術提供により途上国は二酸化炭素(CO2)の削減に取り組む
-
途上国は二酸化炭素(CO2)削減成果をクレジットとして先進国に渡す
-
-
-
-
質の高いインフラの整備
-
質の高いインフラとは
-
利用しやすい
-
長持ちする
-
環境配慮がなされている
-
-
-
-
将来的にその地域で生活する人々を助け、雇用を創出し、地域の経済発展につながる
-
7. 開発途上国が外国市場との繋がりを持つ
-
ターゲット
-
「後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。」(Japan SDGs Action Platform)
-
-
現状は世界の商品輸出総額における後発開発途上国の商品輸出は1%未満。
-
原因
-
生産技術やマーケティング能力
-
輸送インフラの整備
-
地理的に不利な条件を抱えている
-
非関税障壁
-
-
などの面で劣ってしまっている国が存在している。(国際貿易機関・国際開発センター)
8. 若者の雇用環境を改善
-
ターゲット
-
「2020 年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。」(Japan SDGs Action Platform)
-
-
15から24歳の若者の失業者数は全体の35%を占めるとされている
-
失業率で見ると若者が13.1%に対して25歳以上の年長者の失業率は4.4%となっている。(国際労働機関ILO「世界の雇用及び社会の見通し-動向編2017」)
-
-
良質な労働環境を年長者が占めている状況の改善が必要
-
若者世代は良質な労働環境の獲得に不利な状況に置かれている
-
少子高齢化の影響
-
-
少子高齢化による労働者人口の減少
↓労働者人口の推移データ(厚生労働省「雇用を取り巻く環境と諸課題について」,2018)
日本・海外の達成度
〜日本〜
他の先進国の労働時間を日本と比べた場合、日本は圧倒的に多く、まだ過労死が問題視されている面もあり、できていない印象がある。特に残業すればするほど好印象・高評価を与えられ、残業せざるを得ないという風潮が残っている事が現状である。
少子高齢化の影響もあり、若手の人材が減ってしまっている上、高齢者が良質な労働環境におかれる地位を占領してしまっているため、若者がその立場と権利を獲得することに苦戦してしまっている。
また、女性が活躍できるチャンスにおいても他の先進国(フィンランド、ノルウェー、スウェーデンなど)に比べると、日本の女性の労働環境は改善の余地があると見受けられる。女性の雇用を促進する動きと意識が高まりはじめてはいるものの、社会でリーダーの役割をしている女性の割合は少ない。
近年、日本は先進国であるのにも関わらず、外国人労働者が増えている分、彼らは強制労働に近い扱いを受けている事が現状であり、個人的には非常に心が痛む。
しかし、ワーキングプアに該当する人の人数やホームレスの人口の少なさに関しては非常に優れているため、経済的に非常に困難な国民を支援している制度に関しては8番目の目標は達成されていると言える。
〜発展途上国〜
15から24歳の若者の失業者数は全体の35%を占めるとされている。失業率で見ると若者が13.1%に対して25歳以上の年長者の失業率は4.4%となっている。(国際労働機関ILO「世界の雇用及び社会の見通し-動向編2017」)これは主に発展途上国の課題であり、同時に児童労働も深刻である。私達は大手ブランドやメーカーの品物(主に衣服や食品)を安価な値段で買う事が実現できているのも児童労働に従事している子供が背景に関わっている。利益を重視し、安価な値段で消費者に販売することに重点を置いてしまっている企業は大手を含めて数多く存在し、経済を回すためにも簡単には改善できない状況だ。
労働者に正当な金額の給料を支払われない人が多くいる国や地域も残っており、この点も含めて改善の余地がある。
しかし、中には経済的に急成長・急発展している発展途上国もあり、その一例がベトナムだ。若者の人口が高齢者より多く、活発であるため、産業に多様性があったり経済が発展する方向へと向かっている。
全体的には達成には程遠いが、ベトナムのように数十年後には先進国の仲間入りする見込みのある国も存在する上、先進国が途上国を支援している背景もあり、これからの達成へ近くことを期待できる。
NPO/団体
つながりデザイン
-
カフェという場を通じて、「個人がやりたいことを発見⇒地域の担い手になる」という循環を生み出すモデルを創り、広げる
-
こまちカフェ
-
-
リフレッシュの場を提供
-
多様な人との対話の場をつくることを目的としている
-
自身のゆとりが生まれる
-
子どもと楽しく過ごす様子が見られた
-
当事者同士の繋がり(相談相手)を得られた方々が少しずつボランティア活動(パートナー登録)を始めるように
-
-
(こまちぷらす公式)
ユニセフの中期事業企画(2014〜2017)
-
子供の保護
-
暴力、搾取、育児放棄を防止
-
子供の保護に関するシステム強化
-
子供に対する正当な司法
-
出生登録
-
家族とのコミュニティ強化
-
人道支援下での子どもの保護
-
(ユニセフ公式)
福島県内を拠点にスローライフ生活を充実させる
生活支援や環境活動への参加
-
芸術・音楽・工芸・食文化・市民講師。農家講師活動などの出番作りをめざす
-
ホームレスをなくし、犯罪率を下げる事が目的
(こおりやまNPOウェブガイド)
福島県内を拠点に、働くことを望んでいても就労に困難な状況にある若者を対象に以下の活動を行っている
-
相談業務、キャリア・カウンセリング
-
対象者やそのご家族との面談、履歴書作成、面接練習。
-
郡山市フリーター・ニート等就職支援相談会業務受託。
-
-
就労体験(ジョブトレーニング)
-
現場でジョブトレーナーと若者がチームで共同作業を行う(中間的就労訓練)
-
郡山市若年者就労体験事業、JT(日本たばこ)助成事業、自主事業など
-
-
講座
-
コミュニケーション能力の向上
-
キャリア教育
-
を目的とした講座(週1回 安積歴史博物館)
-
交流会
-
支援者や協力者を交えて、花見、バーベキュー、クリスマス会など季節ごとに開催
-
-
保護者会・セミナー
-
一般向け・企業向けセミナーの開催
-
その他40代以上の無業者の支援活動にも力を入れている
(こおりやまNPOウェブガイド)
企業
2009年に「コレティボ」という組織を創設。
-
生活スキルの教育と経済力をつけられるよう支援
-
スーパーフルーツの収穫者をコカ・ コーラシステムのバリューチェーンと結び付ける
-
すべてのメンバーに対して広範なトレーニングの提供
-
環境保全を促進
-
確実な雇用を前提
-
-
参加者が生活力と自信を身に付け、自分の将来を構築できるようにすることを勧める
-
結果的
-
コレティボ・モデルはブラジル全体で約500件のプログラムを率いている
-
15万人に直接影響
-
コレ ティボ参加者の70%は女性 (miraii.jp)
-
-
「DPL流山」を創設
-
仕事と子育てを両立できる次世代型多機能物流施設
-
働き方改革への支援
-
親子が通勤できる
-
緊急時でも保護者がすぐ対応できるなど「職育近接」の労働環境を整備
-
保育施設を完備
-
免震システム・非常用自家発電機の設置など、防災配慮設計を行い8,000人に雇用を目指す (miraii.jp)
-
デイリーハブと呼ばれるコンセプトを作る
-
顧客である現地の乳製品製造加工業者が、できるだけ現地生産で高品質な牛乳を手に入れられる
-
現地で生産された高品質な牛乳の長期にわたる供給を確保
-
同時に小自作酪農業者を自給自足→高利益事業
-
酪農業を経営できるように支援
-
-
バングラデシュのケース
-
牛一頭当たりの一日の平均牛乳生産高が110%増加し、小自作農の平均所得 は145%増加
-
ケニア、スリランカ、ニカラグア、そしてセネガルでも酪農業開発プロジェクトを展開
-
テトラパックとサプライヤーが事業を展開するコミュニティを守り、支援する
-
人権と労働者の権利を守る責任あるバリューチェーンの保証も含む
(テトラ・パック公式)(miraii.jp)
各世代別に金融リテラシー向上のためのプログラム
-
正しい資産形成、ひいては健全な資本市場の実現
-
日々変化する人口動態に適応した金融サービスを提供地域活性ビジネスの強化、地域に根差した社会貢献活動
(SMBC日興証券公式)
キャリアパスに応じた研修、女性活躍推進
-
女性管理者比率
日本郵政:11%以上
日本郵便:10%以上
ゆうちょ銀行:14%以上
かんぽ生命保険:14%以上
障がい者雇用の推進
-
障がい者雇用率グループ
目標2.5%の達成維持
働き方改革
従業員の健康保持・増進
育児休暇・介護休暇取得推進
(日本郵政公式)
従業員がMy「SDGs」行動宣言をして活動する
労働環境に配慮した調達
持続可能な生産に取り組む
適正な雇用を確保する
ヤクルトレディの就労環境の整備を図る
(ヤクルト公式)
日本の若者が正規雇用されているのにもかかわらず、給料が手取り約20万円しかもらえないケースが多くあるが、より労働に見合った給料をもらえるようになるにはどうしたら良いのか?
世代間の機会に関わる不公平をなくす
-
昭和の大企業のビジネスパーソンは会社から投資をしてもらっている
-
ビジネススキルがあり、業界知識や専門知識を持ち、人脈も豊富で、転職先から見ればトレーニングを受けてこなかった若者よりも戦力になる場合が多い。
-
-
知識、経験、人脈が豊富な年配の方が若者より優遇されてしまい、若者は後回しにされがちなので、若者に投資する必要がある
-
若者がトレーニングを受けられる機会を増やす
-
-
誰にでもできる非正規雇用の仕事を若者や外国人労働者が担っているため、高齢者がこのような人たちに支えられている
お金に関する教育を充実させ、若者が積極的に経済を回す仕組みを作る
-
貯金より投資、消費をする
日本にはまだまだブラック企業が多く存在し、一定層の人々は「働けば働くほど良い印象を与える」という風潮に肯定しているのが現状。海外では当たり前でも日本では実際にこの風潮の中で休暇を増やすなどといった取り組みを行い、作業効率の上昇に成功した企業はあるのか?
ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」で有名なロイヤルホールディングスが一例。24時間営業を廃止し、従業員のサービスと社員満足度が高まる。2017年の上期既存店売上高は対前年比で101.3%上昇。
女性用下着ブランドのワコールは、女性従業員の比率が高いために出産・育児や介護による離職率が高く、従業員をどう定着させるかが課題でした。そこで育児や介護に携わる従業員への支援として、短時間勤務制度や休業制度を導入しています。2010年度から14年度において育児休業取得者の復帰率100%を達成。